「作れる材料候補」を選び抜く合金MI探索システムを自社構築、複数材料系で動作確認
スペースシードホールディングス株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:鈴木健吾、以下「当社」)は、AIが提示する材料候補を「自社の製造装置で実際に作れるものだけ」に最上流で絞り込む合金MI(マテリアルズ・インフォマティクス)探索システムを自社構築し、宇宙用途を含む複数の材料系で探索から有望候補の出力までの一連動作を確認したことをお知らせいたします。
本システムは、AIが多数の材料候補を生成する段階の直後に「実際に作れるかどうか」の判定ゲートを置くことで、計算上は優れていても実際には作れない候補を最初から取り除く点に最大の特長があります。
背景:宇宙・月面でのものづくりと焼結への着目
当社は、宇宙空間でのものづくり、居住空間を守る素材、そして月面でのものづくりを見据えた素材開発に取り組んでいます。限られた資源とエネルギーで素材を成形する宇宙・月面のものづくりにおいて、粉末を短時間で緻密な固体に焼き固める焼結(SPS:放電プラズマ焼結)は親和性の高い成形技術として注目されています。
一方、無数にある材料の組合せから有望なものを見つけ出す作業は膨大です。そこで当社は、AI等を用いて膨大な材料の組合せから有望候補を効率的に絞り込むデータ駆動型の材料設計アプローチであるMI(マテリアルズ・インフォマティクス)に着目しました。
今回の成果:探索から絞り込みまでを一気通貫で行うMI探索システム
当社は、合金材料の探索を一気通貫で行うMI探索システム(ソフトウェア)を構築しました。本システムは、(1) AIが多数の材料候補を生成し、(2) そのうち「自社の製造装置で実際に作れるもの」だけを最上流で絞り込み、(3) 有望候補を出力する、という一連の流れを自動で実行します。
「計算上は優れていても実際には作れない候補」を最初から外すことが、本システムの最大の特長です。当社はこの仕組みを机上の設計にとどめず、実際に動作する状態まで構築・社内実装しました。探索から絞り込み、有望候補の出力までの一連動作を確認するとともに、宇宙用途を含む複数の材料系で候補の絞り込みを実行できることも確認しています。
ソフト(設計)とハード(検証)の接続
素材開発は、設計(ソフト)と検証(ハード)が噛み合うことで価値が大きく高まります。当社は、焼結(SPS)による材料検証の枠組みづくりを協力先とともに推進しています。
MIが出力した「作れる候補」を焼結の仕組みに乗せることで、設計から実機での検証までを多数・高速に進めるハイスループットな流れとしてつなぎます。AIで賢く設計し、焼結で素早く検証する。この往復を速く回せる基盤づくりを目指します。
想定する活用シーン
・装置で「作れる候補」だけを最初から探す:探索の最上流に「装置で作れる条件のゲート」を置くことで、後工程での手戻りを減らし、検証に進める候補に集中できます。
・宇宙で使う「軽くて・丈夫で・熱に耐える」素材を設計する:構造材、居住モジュールの外壁材、月面でのものづくりなどを想定します。軽量であることと耐荷重・耐熱は相反しやすく、満たすべき条件が増えるほど人手の試行錯誤では最適点を見失いがちです。本システムは、こうした多条件の探索を支援します。
今後の展開
当社は、半導体をはじめとする新素材分野へ向け、素材開発の立場からソフト(設計)とハード(検証)の両面で提案できる体制を目指します。今回構築した合金MI探索システムは、そのソフト面の基盤に向けた第一歩に位置づけられます。
代表コメント
「計算上は良くても、実際には作れない」――材料開発の現場が抱えるこの壁を越えるために、AIの提案を最初から"作れる候補"だけに絞り込む探索システムを自分たちの手で作り上げ、実際に動くところまで確かめました。私たちが見据えているのは、宇宙でものづくりをし、人が宇宙で暮らせる時代です。その時代に必要な素材を、いま地上で設計し、確かめておく。AIで賢く設計し、焼結で素早く検証する。この往復を速く回せる基盤を起点に、新素材開発のスピードを大きく引き上げ、当社のミッション「SFをノンフィクションにする」を一歩ずつ現実にしていきます。
――スペースシードホールディングス株式会社 代表取締役 鈴木健吾
スペースシードホールディングス株式会社について
スペースシードホールディングス株式会社は、「SFをノンフィクションにする」をミッションとして、投資活動、研究活動ならびに事業創出を行う宇宙系ディープテックベンチャービルダーです。発酵とロンジェビティー技術の社会実装を支援する「Fermentation and Longevity Fund」プログラムの運用などを軸に、社会課題を解決する事業の創出に取り組んでいます。2040年までに各種ステークホルダーとともに、人類が宇宙空間で居住するのに必要な技術を揃えることを目指しています。